タイタス・クロウの事件簿を読み始めたはずが、気がつくと
地球幼年期の終わりを読み終えていた。
うん、やっぱ自分はスケールの大きな話が好きらしい(笑)
てわけで、今日はその感想を。
人類はもう一人ではない。
『地球幼年期の終わり』……原題は『CHILDHOOD’S END』。
訳によっては、タイトルは『幼年期の終わり』の場合も。
自分が読んだのは創元文庫版だったので、各種表記はこれに倣います。
20世紀後半、地球大国間の愚劣な宇宙開発競争を嘲笑うかのように、突如として未知の大宇宙船団が地球に降下してきた。彼らは地球人をはるかに凌ぐ知性と能力を備えた全能者だった。彼らは地球を全面的に管理し、戦争や病気や汚職といった有史以来の人類の悪のすべてを一掃し、その結果、地球には理想社会が出現する。だが彼らの来訪の真意とは……?
著者はアーサー・C・クラーク、1953年の作品だから実に半世紀以上前の作品ですね。
それでいて、ちっとも古臭く無い辺り、さすがは不朽の名作と呼ばれる作といったところ。
著者のクラークは、スタンリー・キューブリックと共に『2001年宇宙の旅』の脚本を共同で執筆し、同時にシリーズとして小説も何作か刊行してましたね。
90歳目前ながらいまだに現役であり続ける、SF界の巨匠です。
『地球幼年期の終わり』は、人類と異星人のファーストコンタクトに始まり、彼らの指導による完全なる社会の樹立、そして人類の進化と終焉を描いた壮大な物語です。
突如現れた異星人……彼らは圧倒的な科学力を持ち、人類の反抗など簡単にいなしてしまい、さらには「死人が出るような手段」を
一切取らないことで力の差を見せつけます。
人類は彼らを<上主>(オーバーロード)と呼び、彼らに従う道を選ぶことに。
しかし、上主たちは地球を支配するのではなく、戦争や犯罪が無い世界作りのための管理を行うに終始し、人類はその恩恵の元に理想社会を築いていきます。
物語は3部構成で、1章は上主が現れて間もない
「変化の時代」、2章はそれから50年後の上主の管理が当たり前となり繁栄を極めた
「黄金時代」、そして3章は謎が明かされ人類の進化が形を成す
「最後の時代」。
時代と共に主格となる人間は移り変わっていきますが、彼らを見守る上主の地球総督カレレンは物語を通じてのキーパーソンとして最初から最後まで話に絡みます。
一番気に入った登場人物は、やはり上主の地球におけるリーダー、カレレンですね。
圧倒的な知能と能力を持つ、上位者にして人格者。
それでいて茶目っ気もあったり、悲哀と野心を秘めていたり、魅力溢れるキャラだったかと。
ハヤカワ版では、名前は「カレルレン」となってるらしいです。
うん、ゼノギアスのネタ元ですね(笑)
ゼノギアスは、ソイレントシステム(映画『ソイレントグリーン』に同名同機能の施設が出てくる)が出てきたりと、SF作品からの引用が多々ありますね。ゾハルもモノリスっぽいし。
っと、閑話休題。
後半を語るとネタバレになっちゃうのですが、上主たちの姿とその目的が徐々に明かされていく様は読んでてワクワクしました。
上主たちは人類から見れば文字通りの超人であり、その科学力は神のごときなのですが……彼らが意外と人間っぽかったりするのですよね。
人類から見れば超越的な存在ながら、相互理解が可能な異星人といったタイプのキャラになってます。
そんな全能者に近い彼らが持つ、ある悲哀と羨望がなかなか深い。
彼らもまた、神ではないのだ。
印象深いシーンは多いのですが、ネタバレしても大丈夫な辺りを少し。
物語は、上主たちの宇宙船が初めて人類の前に姿を現したその日から始まります。
ここで面白かったのは、世界の各主要都市上空に、覆いかぶさるようなサイズの宇宙船がゆっくりと降下してきたという描写。
読んでてピンときたのは、映画の『インデペンデンス・デイ』です。
あの映画も、ある日突然、巨大UFOが世界各国の首都上空に現れるのが始まりでしたね。
まあ、あっちは侵略戦争を仕掛けてくるタコだったんで、上主とは正反対ですが……w
おそらく、インデペンデンス・デイのあの「巨大な影が都市を覆っていく」描写は、本作へのオマージュだったんでしょうね。
小説読んでて、見事にあの場面が頭の中に再現されました(笑)
インデペンデンス・デイも、映像は迫力あったなぁ。映像は。
あー、せっかく感想書いてるのに、眠いぞ……w
語りたいことがうまくまとまってないしな……ネタバレ避けるとどうしても。
何はともあれ、物語のラストは予想も出来ない壮大な結末を迎えます。必見必見。
力強くも儚く、強壮で美しい。
そんな感じのラストでした。
あー、くそぅ、眠気に屈します……w
上手く語れないし、まあいいか。
んでわ、今宵はこのへんで。