Vフォー・ヴェンデッタ。
なんだか週刊になってますな、ごきげんよう。
やはり、しばらくの間は基本は週1、運が良いと週2ぐらいの更新になると思います。
週末の更新が主になる予定ですので、日曜の夜ぐらいにチェックしてもらうのがちょうどいいかも。

さて、今日は久々に映画を借りてきて楽しんでたので、それの話でも。
てわけで、『Vフォー・ヴェンデッタ』でございます。
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『Vフォー・ヴェンデッタ』の物語冒頭は、こんな感じ。

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第3次世界大戦後の英国。
アメリカは大戦による荒廃著しく、「元・アメリカ合衆国」と呼ばれ、英国の植民地へと戻っていた。
そして英国は、強固な国家を維持するべく、独裁者が台頭した全体主義国家となっていた。
繰り返される政府の横暴……民衆は、不満を抱えつつも、政府に従って生きている。

11月4日、深夜。
イヴィー・ハモンドは外出禁止時刻にも関わらず、知人に会うべく家を抜け出すが、秘密警察の男に捕まり暴行されそうになる。
そこに現れたのは、奇妙な仮面を被った謎の男。
『V』と名乗ったその男に救われたイヴィーは、彼に誘われるまま裁判所の前へと連れてこられる。
日付が変わる。11月5日。『ガイ・フォークス・ナイト』。
突然街頭スピーカーから流れ始める、チャイコフスキー『序曲1812年』。
音楽とともに爆破される裁判所、ロンドンの街に赤い炎が爆ぜる……。

『V』による、政府への宣戦布告が成されたのだ……。
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物語は、『V』の成そうとする政府との戦いを、イヴィーの目を通して描いていきます。
独裁政権との戦い……とはいえ、『V』がしているのはテロ。
彼は正当なヒーローではなく、テロリストなわけですね。

製作・脚本はマトリックスで世界に名を馳せたウォシャウスキー兄弟。
哲学ヲタ&アニメコミックヲタの兄弟の脚本ながら、今回は原作アリゆえか、そういう色はほとんどありませんでした。
見る前まで監督も兄弟なのだと思ってたけど、違う人だったり。
でも、映像的なセンスは抜群だったと思います。

『Vフォー・ヴェンデッタ』は現代版『ガイ・フォークス』でもあるようです。
『ガイ・フォークス』とは、17世紀に政府転覆を狙って上院議場爆破を目論んだ、実在の実行犯らしいです。
事件は未遂に終わり、ガイ・フォークスは処刑されました。
その事件は英国では有名な話であり、彼が捕まった11月5日は花火を上げたりする行事になっているとか。
『V』はそのガイ・フォークスの仮面で顔を隠し、11月5日に裁判所を盛大に爆破してみせる……自分をまさに「ガイ・フォークスの再来」としているわけですね。

その他にも、いろいろな古典作品などの一節が引用されることが多く、なんとなく格調高い感じに。
『V』がけっこー紳士的なので、そういう雰囲気を持った映画ですね。


脚本以外にもマトリックスのスタッフが多く参加したらしいのですが、マトリックスのようなアクション主体の映画ではありません。
なので、アクションに期待すると肩透かし確定。
テーマ重視であり、雰囲気重視。
派手な部分は全体の10分の1程度で、暗めに落ち着かせた、地味寄りの映画です。

作風が地味めな上に、『V』の仮面と髪型がカッコ良い部類では無いのも、一般層への「つかみ」としてはマイナスになってそうかも。
仮面に関しては上で貼り付けた画像を参照してもらうとして、髪型はなんつーかおかっぱみたいな感じなのですよ。
無論、この2つは「ガイ・フォークス」をかたどるための要素なので必要なのですけどね。
この映画が気に入れば、あの仮面もなかなかカッコ良く思えてくるから不思議なのですが……w
全く関係ないけど、あの仮面、どっちかってとヒーロー的な立場のキャラより、ジェイソンやスクリーム系のホラー映画の殺人鬼に合いそうだ(笑)


アクション的な爽快感は少ないものの、作品のテーマ部分が自分の感性にフィットした時は、『V』の行動の一つ一つがとても爽快に感じられると思います。
冒頭の爆破などは派手で分かりやすい爽快感がありますが、個人的にクリティカルしたのは「TV局を占拠して自分の声明を流す」シーンと「ドミノ倒し」のシーン。
事件を追う刑事たちの緊迫した会話に挿入される、『V』がドミノをひとつひとつ並べてゆき最後に指で弾く……というシーンがやたらとカッコ良く感じたのですよ。
ドミノ倒しというのも、『V』の戦い方を象徴しているようで、また良し。
……まあ、何かのシュミの入った仕掛けでも作ってるのかと思ったら、大した意味は無くて遊んでただけかいと心の中でツッコミ入れたのはナイショだw
映像的にカッコよければ、多少意味が無いシーンだろうと充分意義があるのだ(笑)

少し触れましたが、『V』の戦い方というのは、無差別な爆破などではなくて「民衆を扇動すること」なのですよね。
ゆえに、ドミノ倒しが象徴的。
裁判所を爆破したのも、宣戦布告であると同時に政府の力の「象徴」を奪うことでもあって。
物理的な戦いが主ではなく、精神的・思想的な働きかけによる戦い、というのは面白かったです。
ま、『V』の戦いは同時に個人的な復讐も兼ねているのですが……。

映画では政府を悪として描いているので『V』はダークヒーロー的に浮かび上がってはいますが、やはり彼はただのテロリストとも言える。
それも、民衆を扇動するテロというのは……無差別テロより凶悪です。
『V』の行動に共感できるかどうかで、この映画の感じ方は180度変わるかもしれません。
映画内では、政府が悪役ゆえに、あまり悩まずに突っ走ってるのですけどね。


しかし、ウォシャウスキー兄弟が本当に描きたかったテーマというのは、マトリックスの頃からこの「民衆よ、悪しき支配に対して立ち上がれ」だったのかなー、なんて思いました。
マトリックスも、1番出来の良い1作目のテーマはまさにそれだと思うのですよ。
マトリックスは『機械』という非人間による支配に対する戦いとはいえ、「支配に対して力で反抗する」という物語ともいえます。
それは、一種のテロ肯定とも受けとれるわけで。
無差別ではなく、暴政に対するピンポイントな反抗とでもいいましょうか。
強固な支配者すら民衆の結束は恐れるものだ……というのが、マトリックス1作目とVフォー・ヴェンデッタ共通のテーマかなぁ、と。
無印マトリックスのラストは、支配者への「これから民衆に真実を暴露する」という宣戦布告でしたしね。

ただ、無印の『マトリックス』が公開されたのは、1999年でした。
当時は、そんな一種のテロ肯定とも受けとれる映画が大ヒットしても許される土壌でした。
が、知ってのとおり、2001年にアメリカで同時多発テロが発生します。
世情的に「テロやっちまえ」な映画はとても作れない状況になってしまったわけですね。
結果、マトリックス続編の『リローデッド』の公開は2003年……1作目から実に4年かかっています(2作目と3作目を間を空けずに公開する意図ゆえ、でしょうけども)。
そして、『リローデッド』も『レボリューションズ』も、映像的な見応えは充分だったものの、話は哲学に飛んだりと1作目からは大きくブレ、正直「よくわからん」話になっており、部分的な「熱さ」は強烈なパワーを持ちつつも映画全体としては少々方向性が定まらない印象でした。
(いや、私はバトルバカなので大喜びしてましたけどね)

無論、これは個人的な推測に過ぎません。
元々、この推測も、いつだったかネットで読んだ誰かの文章がベースとなってます。
しかし、無印マトリックスの「支配への戦い」という図式は、リローデッドでは「種の生存戦争」へと摩り替わっていたように思うのです。
1作目で「これから真実を民衆に教える」と言っていたのに、リローデッドでは月日が経っているはずなのに仮想現実内は特に変わってませんし。
そして、最後のレボリューションズは人間を滅ぼしにかかる機械+仮想現実全てを侵食していくスミス……と、派手だけども1作目との関わりがどんどん希薄化した話になっていきました。
3作目のタイトルでもある「レボリューションズ」はすなわち、『革命』です。
それが複数形になっているということで、世界各地での革命……というようなニュアンスだったのではないかと邪推しているのですが、映画内では『革命』らしきものは無いまま幕を閉じた印象です。
そも、ネオがスミスを倒すことで機械は「人間を解放する」ことを約束して終わったのですが……元々機械が人間を支配していたのは人間を「電池」代わりに用いて自らを維持していたためであって、そんなほいほいと人間を解放したら自分達が滅ぶというのにその辺りはどうするんじゃいってな感じで丸投げで終わっちゃいましたしね。

『革命』と『テロ』は紙一重なのではないか。
1作目で芽生えた火種が民衆へと伝播し、最終的に『革命』へと至るのがウォシャウスキー兄弟が本来思い描いていた『マトリックス』の物語だったのではないか。
そんな思いを2年ほど抱いていたのですが、そこに反政府テロリストによる扇動と革命の物語である『Vフォー・ヴェンデッタ』の脚本を兄弟が手がけたということで、彼らの描きたかった本当の物語の姿がここにあったのじゃないか、そう感じたのでした。
邪推でしかありませんが、もし1作目からテーマがブレないままでマトリックス3部作が作られていたなら……と思う部分はありますね。


さて、長々書いてしまいましたが、結論としては『Vフォー・ヴェンデッタ』、お気に入りになりました。
が、万人向けではないし、わかりやすい娯楽作品でもないです。
私自身、物語の筋などは理解できても、細部の意味は半分も理解できてないでしょう。
それでも、好きな作品のひとつとなりましたとさ。

しっかし、映画見たの、ほんっと久々だ。
やっぱ面白い映画は、良い刺激になりますね。
週1ぐらいで、また映画も見ていきたいものです。
何より、映画館に行きてぇ……orz
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by tenrensenka | 2006-09-24 15:19 | 映像。

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