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狼と香辛料。
イリヤを読み終わったときに、次は一般小説読もうかな~とか言ってたくせにまたラノベ読み終わってる人が約一名。
んー、一時期ラノベ読まなくなってたけど、やっぱ読むと楽しんでるあたり、好きなんだなぁ。

てわけで、今日もラノベ感想の巻き。
今宵は『狼と香辛料』です。
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『狼と香辛料』のあらすじは……

行商人のロレンスは、馬車の荷台で麦の束に埋もれて眠る少女を見つける。 
少女は狼の耳と尾を持つ美しい娘で、自らを豊作を司る神・ホロと名乗った。

「わっちは神と呼ばれたがよ。わっちゃあ、ホロ以外の何者でもない」
経験を積んだ大人のような話し方で、ロレンスを巧みに翻弄する少女。
「お前は、本当に神なのか?」
最初は半信半疑だったロレンスも、やがてホロが旅に同行することを承諾する。

そんなふたりの旅に、思いがけない儲け話が舞い込んでくる。
近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。
疑いながらも、ロレンスはその儲け話に乗るのだが……。


――以上、文庫のリードより転載。


『狼と香辛料』は、第12回電撃大賞の銀賞に選ばれた作品。
受賞作のどれかを読んでみようかなと思い、「中世を舞台に、行商人の商売話を主軸に持ってくる」というアイディアに惹かれて、これを選んでみました。
けっこう面白かったです。

安定した文章で丁寧に描かれているその世界の空気も魅力ながら、読んでいて個人的に一番好ましかったのはやはり「ホロ」というキャラクターか。
数百年を生きる狼神であり、独特な喋り方で老獪さと子供っぽさを見せるおにゃのこ。
見た目はまんまネコミミ少女だが。
いや、猫耳じゃないよ、狼耳。うん、狼耳。まあ耳はどうでもいいんだけど。

ホロは一人称が「わっち」であったり「そんなことはありんせん」など古風な喋り方に加えて、長く生きてきた老獪さでもって個性を形成しています。
派手な行動などは起こさないものの、軽い言い合いなどでは常に主人公ロレンスより一枚上手で、言い負かしては「うふ」と笑っているようなそんなキャラクター。
これがまー、いわゆる広義のツンデレ系というか。
長く生きた余裕から普段はロレンスより先人ぶった態度を取りながら、時折しゅんとなったりそれがまた演技だったりはたまた本当の弱さを見せたりと。
プライドが高くて軽々しくは相手に媚びたりしないくせに、軽い意地悪で拗ねて見せたり好物の林檎を前に意地を張りつつも屈したり。
ホロが林檎に気を取られているのを知りつつ別の話題を振っているうちに通り過ぎようとするロレンスに根負けし、
「林檎……食べ……たいん……じゃが……」
と素直にねだる様とかもう大好きだ。


反面、ホロ以外のキャラクターは特筆するようなものは無い。
ロレンスはホロとの言い合い(要は二人とも素直じゃないだけ)ではいい味を出しているものの、それもやはりホロというキャラクターがあってのもの。
毎度ホロのほうが一枚上手だから、というのもあるけども。
そしてこの主人公コンビ以外となると、まあ平凡な人ばかり……か。
キャラ重視ではない抑え目な雰囲気だからこそ、という面もあるのかな。
ま、妙にキャラばかり強くても全体の雰囲気に合わなかったろうから、ヒロインのホロだけは魅力溢れるキャラだったという結果も、悪くは無いのかもしれない。

話の筋も、安定的。
あらすじにもあった「儲け話」をめぐって、商人達の知恵比べが繰り広げられる。
怪しい儲け話、その裏を取ろうとして、情報を幾つか集め、そこから導き出した仮説を持って商談をし、商売敵に襲われ……。
適度な緊迫感と適度な安堵、そして主人公コンビの微笑ましさ。
そういう要素が安定した面白さを作っているものの、「うならされる」ほどの要素は無かったのが残念。
商人達の駆け引きも「ほほー」とちょっと感心する部分はありつ、「うおお、なるほど!」と目からウロコな場面が無かったので、拍手喝采とは行かず「安定した佳作」という感想に。


この作品の魅力は、中世の行商人に白羽の矢を立てた視点と、そこに華と味を添えたホロというキャラクターの2点、となるかな。
RPG的な世界観のラノベは数あれど、その中で商業活動を主眼に置いた作品は珍しい。
電撃の受賞作4つの中でも、そういう「あまり見たこと無いなあ」と思わせる掴みは『狼と香辛料』が優れていたように思う。
実際、自分もその点でコレを選んだしね。
惜しむらくは突出したものを感じられなかったことか。
ベースは安定しているので、今後何かで突出できればさらに良くなるだろう。
続編も出るみたいなんで、どうしようか少し迷う。

他の受賞作も「どんなもんかねえ」的な興味はあるものの、買ってみようとは思わないのがどうしたものか。
大賞のタイトルが『お留守バンシー』だもんなあ……萌え一辺倒ではないのだろうけど、どうにもタイトルだけで敬遠してしまう。
金賞『哀しみキメラ』も、筆力で審査員をうならせた~って売り文句にちょっと興味があるものの、これまたタイトルが弱いなぁ。
もう1個の銀賞は『火目の巫女』……火目……ヒメ……舞HiME?w なんか弓の描写が評判らしい。けどこれも買おうとまでは思わない。
ふぅむ、やはり「つかみ」って大事で難しいね。



ま、そんなこんなで、『狼と香辛料』は小粒の佳作でした。
とりあえずホロは萌え。

さぁて、次こそは一般小説を……と思っていたのに、目当ての本が図書館に無かったのでまた少し先延ばしっぽ。
代わりに読んでみようかなと思ったラノベが置いてあったので借りる。またラノベか。
電撃も置いてくれると助かるんだけどなぁ、府立図書館様。
スニーカーだけ置いてあるってのも、なんか時代を感じるなぁ。

そんな感じで、今宵はおさらば~。
by tenrensenka | 2006-05-30 21:31 | 本。

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