映画のダ・ヴィンチ・コードはぶっちゃけ微妙でしたよ、と。
面白かったら今日のネタにしようと思ってたけど、ヤメ。
説明不足や見せ方がヘタだったりで、典型的なハズレかと。
聖杯の解釈だけは面白かったかな、ぐらい。
原作読んでないけど、原作の魅力はほとんど出せてない予感。
見に行こうかと思ってる人は、ご注意をば。
てわけで、今宵はネタストックから再び『イリヤの空、UFOの夏』がらみで。
ああ、そこ、またかとか言わない。
しょーがないじゃないか、好きなんだもの。
てことで、今回はOVAの感想です。
『イリヤの空、UFOの夏』に関しては以前の記事を参照ということで、今日はOVAの各話ごとの感想などでいってみます。
イリヤのOVAはちょうど去年に販売された模様。
SELLオンリーでレンタル品は無いはずだけど、行きつけのレンタル店で借りれたのはナイショ。
全6巻で、1巻26分に小説版の2話ぐらいを凝縮した内容になってます。
んでわ、各部の感想でも。
・OP
ぶっちゃけ手抜きに感じる。ヌルい。
そりゃ作品の題名になるぐらい「空」はこの作品のイメージを担う要素のひとつだけど。だからってOPの背景がぜーんぶ空ってのはどうかと。
歌は可もなく不可もなく……悪くはないけど印象にも残らない。
総じて、インパクトの低いOPでちた。
・第1話「第三種接近遭遇」
OVA第1話は、原作の1話と2話を混ぜ合わせた話に。
ちらっと見たネットでの評判はあんまり良くなかったイリヤOVA。
その評判にうなずけてしまう出来で、残念でした。
OVA1話は、原作1巻の最初から180ページぐらいまでを26分にまとめてあります。
はい、まあ予測できることですね。
尺が足りなすぎる。
限られた時間に詰め込もうとするあまり、「原作の重要シーンをつなげただけ」になっている。
そして、各シーンを表現するには時間が足りない。
キャラの心情などもうまく表現できていないため、急いでるだけで面白くない。
何より、作品の雰囲気をうまく表せていないのが一番アウトなのでは。
原作の良さを再現できず、アニメオリジナルとしての良さもなく、なんとも「ただのアニメ」になっているのが一番の難点。
浅羽と伊里野の出会いは一種神秘的で幻想的な空気があってこそなのに、演出面でそういった空気を出せていないのも不満。
あと、浅羽がなんか違う。ただのヘタレにしか見えない。てか声がなぁ……。
後半はいわゆる「シェルター事件」になるのだけど……あの畳み掛けるような緊迫感が無い。
尺が絶望的に足りない。原作をなぞっているだけで、面白みが無い。
てーかシェルター事件の締めくくりは「なす術は、なかったと思う」の一言に尽きるように、浅羽の脱力というか頭が真っ白になってのちに頭を抱えているであろうあの落とし方があってこそ面白い部分なのに、それを変更してしまったのが非常に勿体無い。
OVA版は、他にも幾つか「原作での面白さを生むポイント」を外してしまって自ら良さを減らしてしまっている点がある。
やはり原作の2話ぶん180ページを26分に詰め込むのは無謀だったということだろうか。
OVA1話で注目できる点は
伊里野の胸ぐらい残念ながらほとんど無い。
・第2話「ラブレター」
OVA第2話はタイトルこそ原作第2話の「ラブレター」になってはいるが、実際の内容は原作3・4話の「正しい原チャリの盗み方(前後編)」だ。
何故「ラブレター」になっているかといえば、原作2話のラストをOVA2話のラストに持ってきているから、という理由である。
そんな2話目だが……元々が前後編だったものを1つにまとめただけなので、今回は省略などがスムーズにいっていてマル。
ちゃんと、26分枠で「1話のアニメ」としてまとまっていてグッド。
まあ、個人的に大好きだった原チャリを盗むときの手際の良さが軽く済まされていたのは残念だが(笑)
全体的な見せ方、雰囲気の出し方も1話に比べ格段に良くなっていた。
「つかみ」の1話がダメで2話からは良いってのも、勿体無い話だなぁ。
ただ、終盤でやはり尺の問題を感じたのは残念な限り。
公園での伊里野の語りが、簡略化されたために訴えかける力が減ってしまっている。
まあ、原作は伊里野がたどたどしく語るからこその効果であって、要点に絞ったOVA版も映像作品としては正しいんだろうけども。
まあ、小さな不満はありつつも、前半のデート尾行や原チャリチェイスは面白かったのでOKかな。
浅羽妹もイメージ通りで面白かったし。「毛が生えた」の類はカットされてたが(笑)
1話に比べると格段に良くなった、OVA2話。
1話の不満を返上してくれる、面白い26分でした。
・第3話「十八時四十七分三十二秒」
OVA第3話は、原作の「十八時四十七分三十二秒(前後編)」をひとつにまとめた形。
前回以上に盛り込むことが多くてこぼれ落ちた部分は多いものの、今までの三話で一番良かったと思う。
「十八時四十七分三十二秒」はデート編に続き、学園祭編である。
前半は学園祭の準備、後半が学園祭当日、といった感じ。
2話の「ラブレター」とは違って省略しにくいエピソードの多い3話、その中では善戦したといえるだろう。
学園祭の賑やかさを出すには、ちょっと後半の13分では足りなかったのは残念だ。
何せ、ラストシーンをのぞけばたぶん10分ぐらいしかなく、その間に二日分詰め込んだのだから。
無論、省略できる部分は上手く省略してあった。
が、それゆえに失われたものも多く、やはり尺の問題が付きまとう。
しかし、冒頭の回想に始まり怒涛のラストまで、見せ方の上手さもあって良い雰囲気が出ていた。
そして何より、この回の全てはラストシーンの素晴らしさに集約する。
原作でも屈指の美しい名シーンだったが、OVA版もちゃんと力を入れるべき場所をわかっていたようで満足。
夕暮れの映像に音楽が上手く絡み合い、テンションを上げてきたところにドーンと衝撃を投下されたあの瞬間は、イリヤOVAで初めて背筋に震えが来た。
原作では静かに始まり打ち震えるような興奮に繋がっていくのだが、OVAでは怒涛で始まり最初から最後までボルテージの高い状態で魅せてくれた。
いやほんと、あのラストの美しさとカッコよさには、涙出そうだった。
原作が好きなら、あのシーンだけでも見る価値はある。
浅羽の声が少々マヌケな部分もあったが、それも目を瞑れる。
このシーンがこれだけ感動的に再現できたのだから、6巻のグランドフィナーレも期待できそうかな?
このOVAシリーズを見て良かったと、心から思える抜群に良いシーンだった。
さて、長くなってきたし5巻と6巻はまだ見てないので、4巻以降の感想はまた今度に。
さあどうなるかなぁ……終盤のあの切なさとやるせなさを、どこまで出せるか……。