That is not dead which can eternal lie,
And with strange aeons even death may die.
アーカム計画、読了。
いやはや、読みやすい文章だったのでスイスイ読めちゃったい。
情景描写が少なくて、一文が短めだからかなー。
ラヴクラ並みの文章を覚悟してたんで、読みやすいこと読みやすいこと。
この前読んでたラノベの、『されど罪人は竜と踊る』のほうが読むの疲れたぐらい。
(実は『され竜』は、4冊借りてきたものの1冊半読んだところで放り出してしまった。
オリジナルの魔法体系と世界観、キャラの毒づき合いは面白かったんだけど)
アーカム計画、原題は昨日も書いたとおりに『STRANGE EONS』。
作家H.P.ラヴクラフトの死後半世紀が経ったアメリカで、ひとりの蒐集家が一枚の絵を買うことから話は始まる。
彼の友人はその絵を見て、驚きの声を上げた。
「これは『ピックマンのモデル』だ」
それは半世紀前の作家が書いた小説の中に登場する絵画、果たしてこの絵は本物なのか?
これが1章の導入。
彼らは絵について調べ始めるが、ラヴクラフトの小説をなぞるような奇怪な事態に巻き込まれていく。
2章は蒐集家の別れた妻が主人公となり、最終章である3章はそれから約25年後のある青年が結末を握る。
全体を通してのキーワードは、『ラヴクラフト』……彼の書いた小説が「小説の形式を取った事実の記録ではないか?」という疑いを持った人々が事件に関わっていくことに。
文章も展開もテンポよくて、スイスイ読めて面白い作品でした。
ただ、前回も書いたように、ラヴクラ作品を読んでることがほぼ前提の小説となってます。
というのも、この作品の作者であるロバート・ブロックという人は、熱烈なラヴクラフトのファンであり、彼の勧めで小説家になったという経緯を持つのですね。
ラヴクラフトの世界観(クトゥルフ神話として系統化される原典)の構築にも関わりを持ち、彼を信奉し、自らも同じ世界観を使っての作品を幾つも発表していたブロック。
互いの作中で相手を殺すなどという「お遊び」を楽しむ間柄だった彼らでしたが、ラヴクラフトの死にショックを受けたブロックは一時筆を折るほどに失意の底に沈んだそうです。
そんな彼が、師であるラヴクラフトとともに構築した世界観(ラヴクラフトの死後、弟子の一人オーガスト・ダーレスによって再解釈され『クトゥルフ神話』として世に売り出された世界観)での総決算として書かれたのが、本作だったようです。
作中にはラヴクラフトへのオマージュが散りばめられ……というよりも、作品そのものがラヴクラフトへのオマージュとなっています。
作中では随所にラヴクラフト作品のタイトルが顔を見せ、その代表的なシーンの再現がされる。
補足説明は無く「あの作品と同じだ」と言及されるに留まるので、元ネタがわかんない人には「なんか内輪ネタばっかですね」という印象になるかと。
反面、元ネタが好きな人にはそれらが出てくるだけで面白いのですが(笑)
そんなわけで、多少同人くさいですw
内容については、上記のラヴクラからの引用以外にも定番のオンパレードで盛りだくさん。
黒い人(ニャの人)や半漁ドンやクトゥルーやらトラペゾヘドロンやら、わんさかわんさか。
ラヴクラ引用が少なければ、クトゥルフ入門書になったかもなあ。
そして、元ネタを知っておかないと小ネタの楽しみが減るくせに、知ってると途中でオチがじわじわ読めてしまう罠(笑)
でも、面白い作品だったと思います。
まあ、自分はニャルラトホテプと輝くトラペゾヘドロンが好きなので、その二つが出てるだけで大喜びなのですがw
しっかし、案外、核ミサイル効いたのだねぇ(ぁ
さて、クトゥルフ漬け第1弾があっさり終了してしまったので、次はタイタス・サーガに入るべか。
ラムレイの文章は読みやすいのかどうか。それで読む速度が全然違ってくる……w
原典以外にも手を出し始めたし、そのうちダーレスも読んでみるかなー。
食わず嫌いが治るか、はたまたやっぱりダメか……w
はい、そんな感じに興味ない人は全力で置き去りにした感想文で今日は終了!w